迷惑メール・スパムメールとは
パソコンやスマホを使ってメールを利用していると、広告宣伝メールや意味不明なメールが届くようになります。
こうした受け取る人の意思を無視して、一方的に送りつけられてくるメールのことを総称して「迷惑メール」または「スパムメール」と呼んでいます。
迷惑メールは、メールの内容が自分にとって良い内容、悪い内容に関係なく、メール利用者がメールを受け取ることを承認していなければ、それは全て迷惑メールということになります。
事前の同意がない広告・宣伝メールは、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」や、「特定商取引に関する法律」により、法律で原則的に禁じられています。
法律で禁じられているにも関わらず、なぜ迷惑メールは送られてくるのでしょうか。
今回は、迷惑メールについてあれこれ考察してみようと思います。
なぜ迷惑メールが送信されるのか
- ・コストが安い
- パソコンとネット環境とプログラムを組むだけで、大量の電子メールを一斉に送信できます。このため費用はほとんど掛からず、大量に迷惑メール送信した中で、わずか数名しか引っかからなかった場合でも、大儲けになります。
- ・違法性のある内容を匿名で送信できる
- 送信する側に立って考えるとわかりやすいです。違法性の高い内容を、不特定多数の人たちに、さらに匿名でリスクを負わずに、無差別に送信ができるので、迷惑メールを送信したほうが儲かります。
やらないよりやったほうが儲かる、やったもの勝ちだから、違法でも迷惑メールを送信するのでしょう。
迷惑メール、スパムメールのタイプ別分類
迷惑メールをタイプ別に分類すると、
- ・広告宣伝メール
- 広告や宣伝といった営利目的に送信される電子メール。
- ・架空請求メール
- 事実無根の支払いを請求して、受信者からお金を支払わせるのが目的の電子メール。
- ・お金儲けのメール
- 高収入といった副業を持ち掛け、高い教材や紹介料をだまし取るのが目的の電子メール。
- ・詐欺メール
- 銀行員になりすまし、受信者を騙して、銀行のパスワードや個人情報を抜き取るのが目的の電子メール。
- ・ウイルスメール
- 受信者のパソコンを乗っ取るために、ウイルスを送り付けるのが目的の電子メール。
- ・チェーンメール
- 「誰かに送らなければ不幸になる」と脅かす内容が書かれている悪意ある電子メール。基本的に愉快犯が多いので、実害はないが不快な気持ちになる。
などがあります。迷惑メールは基本的に「お金」または「時間」を奪うもの、というイメージでしょうか。
迷惑メールは何が問題なのか
私は最初迷惑メールが来た時、「迷惑メールは一方的に送られてくるだけなので、実害がないから無視しておけばいいのでは?」と思っていました。
無視する、というのも確かに対策の一つではありますが、無視という対策だけでは、問題は解決しません。
パソコンが乗っ取られて加害者になることがある
ウイルスメールはパソコンをマルウェア感染させ、乗っ取ったパソコンをサイバー犯罪の踏み台にし、知らない間に自分が犯罪の加害者になっていることがあります。
無視すればいいとはわかっていても、ついうっかりウイルスメールを開いてしまうこともあります。やはり迷惑メールの対策は必要です。
電子メールをダウンロードする時間がかかる
受信者側に迷惑メールをダウンロードさせるため、ネット回線に負担がかかります。今ではネットの回線速度もスピードアップし、昔ほど気にすることはなくなりましたが、迷惑メール白書によると日本でやり取りされている、電子メール量の約4割は迷惑メールだそうで、大きな視点でみれば、社会問題のひとつといえます。
メールの処理に多くの時間を費やしてしまい、業務効率の低下を招く
迷惑メールのせいで、本来読むべきメールが、大量の迷惑メールの中に埋もれてしまい、どれが必要なメールで、どれが迷惑メールなのかという、メールの仕分け作業を強いられます。結果、生産性を奪うことになるので、経済的な損失が発生しています。本来、迷惑メールがなければ、仕分け作業はすることのない作業です。
この問題を解決するには、迷惑メールを仕分けるフィルタリング機能を導入すれば、ある程度機械的にメールを仕分けることができます。しかし、それでも何%かの迷惑メールは、フィルタリングをすり抜けてしまったり、逆に読むべきメールが迷惑メールと誤認識されてしまったりと、新たな問題も発生します。
アダルトサイトや出会い系サイトなどの広告が未成年に配信される場合がある
迷惑メールの中には、有害サイトへの誘導を行う内容がかかれていることがあるため、判断力が未熟な未成年が、何が正しいのかわからないまま、何らかの犯罪に巻き込まれる可能性があります。
迷惑メールを防ぐための基礎知識
迷惑メール対策は、大きく分けて自衛で対応する方法と、プロバイダなどが提供しているサービスを利用する方法があります。
自衛で対応する方法
指定したメールアドレスからのみ受信するように設定する
受信するメールアドレスをあらかじめ決めてしまい、それ以外は受け付けないように設定する方法です。しかしこの方法では、企業メールなどは複数のメールアドレスを使って送信してくるので、受信漏れが生じる可能性があります。
長く複雑なメールアドレスを使用する
メールアドレスを複雑にすることで、迷惑メール送信者やスパム業者に、自身のメールアドレスが推測されないようになります。
迷惑メールに返信しない
迷惑メールに返信してしまうと、迷惑メール送信者やスパム業者などに、自分の存在を知らせてしまうことになります。迷惑メールに手を付けないことが、基本的な対処法になります。
迷惑メールに添付されたファイルを開かない
主にウイルスメール対策です。添付されたファイルがマルウェアの可能性があるので、開かないようにします。
必要以上に自分のメールアドレスを他人に教えない
多くの人にメールアドレスを伝えればつたえるほど、教わった人から、メールアドレスが流出してしまうリスクが高くなります。メールアドレスを伝える人は、信頼できる人にしましょう。信頼できない人にはフリーのメールアドレスまたは、捨てメールアドレスを教えるのも一つの手です。
ウェブサイトに公開するとき、メールアドレスをそのまま記述しない
ウェブ上には機械で巡回して情報を収集する、「bot」というプログラムが存在します。メールアドレスをウェブサイト上に公開していると、メールアドレスも情報としてbotに収集されてしまいます。どうしてもウェブサイト上に公開したい場合は、フリーのメールアドレスを公開して、対策をするといいでしょう。
複数のメールアドレス、サブアドレスを持つ
サブアドレスというのは簡単にいうと、本来のメインアドレスに追加して、利用することができる補助的なメールアドレスのことを言います。
例えば、携帯電話のメールアドレスをメインアドレスとして使い、それ以外のフリーのメールアドレスをサブアドレスとして使い分けます。
そしてサブアドレスを懸賞の応募に使ったり、ウェブサイトの公開用として使ったりと、迷惑メール対策として使用します。
もしサブアドレスに迷惑メールが送信されてきたとしても、今のサブアドレスは破棄して、また他のサブアドレスを使えばいいので、サブアドレスを使う方法を採用していると、迷惑メールはほぼ見かけなくなります。
Gmailにメールを転送させて、Gmailをスパムフィルターとして利用する
Gmailには、Googleがお金と時間をかけて作成した、強力なスパムフィルターがあります。そのGmailのスパムフィルターを利用して、迷惑メールを除去してしまおうという方法です。
詳しい説明は省略しますが、この方法をするには、Gmailを経由させる設定が必要なため、やや難易度が高い上級者向けの方法になります。
サービスを利用して対策する方法
メールを扱うプロバイダなら、オプションで迷惑メールの対策を標準で行っています。主な迷惑メール対策の機能になります。
迷惑メールフィルタ
迷惑メール(スパムメール)の疑いのあるメールをサーバ上で検知し、受信箱ではなく迷惑メールフォルダに自動的に振り分ける機能です。
フィルタの精度が悪いと、必要なメールがスパムメールと判定されてしまいます。そのためある程度フィルタを学習させなければならず、手間がかかります。
受信拒否リスト機能
指定したメールアドレスから届くメールは受け取らないようにする機能です。受信したくないメールアドレスやドメインを指定し、そこから送られてくるメールは、受信しないように設定する機能です。
迷惑メール報告機能
受信箱にあるメールのうち、「迷惑メールである」と感じたメールを、サービス提供会社に転送して報告する機能です。
名称は微妙に異なっていたりしますが、どの事業者にも、同じような迷惑メール対策機能があるはずです。
迷惑メールとは何か、から始まってその対策までお話しました。政府は迷惑メールの撲滅を目指しているようですが、迷惑メールは本当にこの世から無くなるのでしょうか。私は無くならないような気がします。
以上、迷惑メール(スパムメール)の基礎知識と対策でした。